1 地区の現状と課題
1) 当地区は、市の東北部に位置し、花巻市東和町、北上市口内町と接する、緑豊かな農村地帯である。
面積は、37.77㎢で、地区のほぼ中央を広瀬川が流れ、併せて県道玉里梁川線が南北に縦断している。
北側を自動車専用道路釜石秋田線、国道107号、南側を県道口内伊手線が東西に横断し、内陸と沿岸部を結ぶ交通の要所となっている。
また、釜石秋田道江刺田瀬インターからの利用が増えていることから、奥州市全体の将来を見据え、奥州市商工会議所等からも隣接する国道107号沿いへのパーキングエリア設置要望が出ている。現在でもお昼時間になると石刎及び長根のチエーン着脱所には、沢山の車両が休憩している。
人口は1,381人(令和2年9月末日)で(平成16年比-701人)減少の一途にあり、年齢構成は18歳以下8.6%、19歳以上64歳までが43.7%、65歳以上が47.7%の比率で、一層の高齢化が進行すると予想されるが世帯数543戸は横ばいである。
しかし地域の持続的コミュニテイ形成のため、行政区の再編が必要な時期となっている。
2) 歴史は古く、往古は坂上田村麻呂によって討伐された大岳丸の立てこもった所と伝えられている。江戸期には、南部伊達両藩の藩境としての要所だったことから、伊達藩の支族の小梁川氏を配し、藩警備がなされた。また、大名行列、流鏑馬、奴踊り、獅子躍、神楽など数々の伝統芸能が保存されているが、集落内を門付けする火防祭(神楽)や「オシラ神」等の民間信仰は殆ど無くなっている。
3) 産業は農業であり、稲作を中心に野菜、和牛飼育と園芸作物の複合型農業である。特に平成22年から農業者の草刈り労力軽減を図りながら農地及び農村の景観保全の観点から羊を飼育し、現在では「梁川ひつじ」のブランド名で梁川産ラム肉を提供し、需要が増え生産が追いついていない状況であり、今後は生産頭数の増加が課題である。
また、最近は、芦沢地区の旧タバコ団地付近に、大規模なブロイラー施設が進出し、羊飼育にも参入の見込である。
4) 地域経済においては、半世紀前は収入及び雇用の場確保から数社が地域参入し、舘下地内は商店街が形成され、買い物が可能となり生活が満たされていた。しかし、車社会や交通の利便性から都市部へ生活拠点が移行し人口減少となり、数件の商店が営まれているのみである。また、栗生沢地区では、「種蒔桜」の維持管理及び「ほたるの里づくり」を集落全体で取り組み、地区内外から沢山の人が訪れる地域お輿しを10年以上続けている。
5) 生活環境面では、県道玉里梁川線の舘下地内が狭隘なことから新バイパス道路が令和8年の完成を目指して取り込まれている。
そのほかの県道にも一部道幅が狭く要改良区間があるほか、市道は未舗装路線が多く、大雨時には敷砂利等が流され、維持管理等にも苦労している。
また、上水道においては、整備されているが本管への未接続も多い。
下水道おいては、舘下地区を中心に農業集落排水事業で整備されたが、個人設置浄化槽については、設置戸数がまだまだ少ない。
6) 地区内公共施設は、地区センター、保育所、小学校、林業者等健康増進センター、総合運動場、高齢者生きがいセンターなどが設置されている。
今後、梁川保育所、梁川小学校の江刺東地区統合計画があることから、統合後の建物活用について検討して行く。
7) 地域課題としては
(1)定住人口の確保…就労場所及び郷土に対する誇りと家族の大切さ
(2)産業の振興対策…農地基盤整備、担い手不足、耕作放棄地、まちづくり等
(3)生活基盤整備…未舗装道路の解消、上下水道の接続と未整備地域の解消、
地区内交通事業等
(4)自然環境の保全…生活雑排水の未処理放流、ゴミの不法投棄等
(5)医療・福祉環境の整備…移動診療車の継続と利用者の拡大。
高齢者福祉と介護施設の充実等
(6)文化財の保存…郷土芸能の支援と名所旧跡の保存
2 梁川地区の将来像(イメージ)
梁川は、沿岸と内陸を結ぶ釜石秋田道の江刺田瀬インターが国道107号に直結して、奥州市の北の玄関口となっている。
自然が豊かで、米、野菜、りんご等の栽培、併せて、牛、ニワトリ、羊の飼育も行われている。また、獅子躍・大名行列等、多くの伝統芸能を継承している。
これらのことを活用した地域づくりを、次のとおり梁川の将来像に掲げる。
3 地区の重点目標
1) 地域コミュニティの醸成
(1)後継者の確保と少子高齢化対策
(2)公共施設の整備と有効利用
(3)空き家、廃校活用による地域活性化と定住促進
(4)世代間交流と都市農村交流
(5)地区内の人材(職種別)バンクの取組
(6)情報発信機能の充実(ホームページやSNS)
2) 産業の振興
(1)水田の基盤整備(耕作放棄地対策等)
(2)林業政策の推進(林道整備等)
(3)新規参入事業者(大規模農場、事業開発)との共存及び担い手の育成
(4)農畜産物の取組促進(米、野菜、りんご、牛、ひつじ等)
(5)パーキングエリア設置事業(憩いの場、産直、食堂、農産物6次産業施設)の整備
(6)「大滝詠一さんのふるさと」を活用したまちづくり
3) 生活環境の整備
(1)生活道路の拡幅改良及び現道舗装の整備
(2)防犯灯、消火栓等安全施設等の整備
(3)総合運動場内旧校舎の撤去
(4)上水道の未整備地区の解消
(5)下水道の加入率向上と個人設置浄化槽の推進
(6)ゴミ減量化及びリサイクル化と自然環境保護に関する学習への取組
(7)EM菌の普及・活用、河川清流化の取組
(8)大掃除検査の取組と花いっぱい運動の推進
4) 医療福祉の向上
(1)移動診療車の積極的な利用と予防医療の推進
(2)高齢者世帯等の安否確認システムの取組
(3)高齢者いきがい施設を地区センター周辺に充実(ホームヘルプ事業)
(4)近隣(玉里・広瀬)老人福祉施設(季節限定型老人共同生活施設)の活用
(5)高齢弱者対策(買い物、草刈り、雪かき等)
(6)地区内交通の恒久的な運営
(7)健康づくりのまち(学習会の開催、ラジオ体操、体力測定等)
5) 生涯学習と地域文化の推進
(1)学校教育への支援事業
(2)地域教育(家庭、青年、女性、高齢者の活動)
(3)文化財の保存・管理、伝統芸能の伝承支援及び人材育成
(4)祭り事業への支援
4 やながわ活性化 4つのスローガン
や やさしいこころで (おもいやり)
な なかまと一緒に (共助)
が がんばろう (自助)
わ わが故郷をまもるため (ムラの自立)