豊かな自然のあかし
長い冬がようやく終わり、少し春めいてくるころ、ハクチョウの群れが梁川の空を飛ぶ。
クークーと啼きながら、編隊でやってきて、エサのありそうな田に降り立つ。
厳寒期には、北上川やその近くの湖や池にいることが多いのだが、北への長い旅のエネルギーを補給するためだろう、落穂のありそうな田んぼに降り立つと、日がな、エサをあさり続ける。そして、夕方になるとねぐらへ帰っていく。
群れの中で、首のあたりが灰色がかっているのは、今年生まれたこどもだ。
親鳥に守られるようにして、エサを食べている。
「あさっぱらから、うるさくて寝ていられない」と、文句をいう人もいるが、ハクチョウがいるのも、そう長くはない。せいぜい、一週間ぐらいだろうか。
ある日突然、への字のかたちの編隊を組んで、北へ帰ってゆくのだ。
その姿をみると、「また、来年もきっと帰ってこいよ~」と、願わずにはいられない。
そして、いつまでも、ハクチョウが帰ってこられる、自然豊かな梁川であってほしい、とおもうのだ。
(T・Y)